朝食を抜きにしたら悪いの!?睡眠と血糖から考える身体の仕組み

しまった、寝坊してしまった!!とりあえず最低限の準備だけをして家を飛び出し行こうとしたら、「朝ごはんを食べて行きないっ」と母親に止められたこと、ありませんか?私は子供の頃はネボスケだったのでよくありました。そんな時は一口食べて出て行ったり、間に合わないからといって全く食べずにしたものです。朝早く起きて作ってくれた母親の苦労を思うと、この年になってとても悪いことをしてたなぁと申し訳ない気になってしまいます。
朝食を食べなさい、食べなさいと耳にタコができるほど聞かされてきましたが、ではなぜ朝食は食べたほうがいいのでしょうか?当たり前と思っていたことですが、その理由を薬剤師の視点でお届けしますね。


ズバリ、朝食を食べたほうがいい本当の理由は、血糖値の変化です。

血糖値と言ってもあまりピンとこない方も多いと思いますが、年を重ね糖尿病などを患った方にはとてもなじみが深いものだと思います。
誰もが経験したことがあると重いますが、夕方にぼーっとしたりすることはないですか?それは、血糖値が下がっているために起こっています。
ぼーっとなるのはうまく脳が働いていない証拠です。
脳はなぜ活動しているかというと糖分をエネルギーとして働いています。では、その糖分はどこから運ばれて来るかというと、血管を通して血液で運ばれてきます。
この、血液を通して運ばれる糖分を血糖といい、その値を血糖値といいます。

■朝食と血糖値の関係
朝食を抜いてしまうと10時頃には血糖値が下がり、脳の働きが悪くなってしまいます。そのため、朝食で食べたものが腸に運ばれ分解され、糖分として身体の取り入れられなければいけないのです。
子どもたちは朝から学校の授業をしっかり理解してほしいですよね。そのためにはしっかりと脳が働いてくれないといけません。だから、朝からちゃんと食べたほうがいいのです。大人も同じで、朝から仕事をバリバリしたいと思うのなら、朝ごはんを食べて頭をしっかり働かせましょう。


■血糖を考えた朝食のメニュー
朝ごはんを食べると言っても、では何をどう食べればいいのでしょうか?ここでは、私なりの考え方をお伝えします。
朝食と働き、栄養素別に考えて見るとわかりやすいと思います。

・すぐにエネルギーになる   →ブドウ糖などの糖分・・・オレンジジュースや果物など
・しばらくしてエネルギーになる→炭水化物・・・ご飯やパンなど
・腹持ちがする        →タンパク質・・・魚、卵、ソーセージなど

オレンジジュースや果物
オレンジジュースや果物に含まれるブドウ糖などの糖分はすぐに栄養として使われます。そのため、即戦力として朝食には是非とっておきたいところです。余談ですが、夜は糖分を身体の中に溜め込もうとするので、取るならやはり朝です。

ご飯やパン
朝食のメニューに欠かせないのが、ご飯やパンですね。主の成分である炭水化物は、分解されて糖分に変わります。果物などに含まれる糖分より分解に時間がかかるためしばらくしてからエネルギーに変わっていきます。

魚や卵
糖分だけでは途中でお腹が空いてしまいます。やはり、欠かせないのは、タンパク質で魚や卵なども朝食に取ったほうがいいです。


食の多様化が進み、和食派・洋食派などいろいろな選択肢がありますが、上のようなことを意識しながらバランスよく取るようにしてみてくださいね。


■睡眠と血糖の関係
少し余談になりますが、夜7時にご飯を食べたとして、朝食を朝7時に食べたとすると12時間も間があります。朝食と昼食の間は、5〜6時間といったところでしょう。昼食と夕食の間もそれくらいの方が多くのではないかと思います。
では、なぜ、夕食から朝食の間だけこんなに空いても大丈夫かというと、コルチゾールというホルモンが関係しています。
夜寝ている時はもちろんご飯は食べられませんよね。そんな時は、身体に蓄積されたグリコーゲンという脂肪や糖分のかたまりを使ってエネルギーに変えています。このコルチゾールは夜中の3時頃大量に出てきて、呼吸をするエネルギーや心臓を動かくエネルギー、肝臓などを働かせるエネルギーなど生命維持に必要なエネルギーになります。
そのため、夕食から朝食まで時間が空いても大丈夫なのです。ちなみに、コルチゾールで作られた糖分は10時ごろに切れてしまいます。
10時とは前にも出てましたね。そう、血糖値が下がリ始める時間です。ここで作られた糖分が切れてしまうために、血糖値が下がってしまっていたのです。


「朝ごはんを食べて行きなさいっ!」その言葉の裏にはこんなことがあるのです。薬剤師になりその意味を知りましたが、親とはほんとにありがたい存在なんだなぁと改めて思い知らされました。
正しくバランスの取れた朝食を食べて、血糖値を上げ、頭をしっかり働かせる。
朝食をとらない理由はないと今になればよくわかります。(この話を子供の頃に聞いても理解できず、食べてなかったと思いますが)
朝食をしっかりとれる、充実した朝の時間を送りたいですね。